今月の病気(平成21年)
しもやけとは、寒さのために皮膚の血液循環が悪くなって生じた炎症のことを言います。手や足の指、頬、鼻先、耳たぶによくできます。しもやけの状態で肌が乾燥すると、皮膚に亀裂が生じて出血したりします。これを『ひび』、程度のひどいものを『あかぎれ』と呼びます。皮膚が赤または青紫色に腫れあがり、ジンジンしてむず痒い、痛い、熱いといった症状が出ます。 | |
なぜできるの? | 寒い→全身の体温低下を防ぐため皮膚の血管が収縮→皮膚の血の流れが悪くなる→しもやけ |
どういうときに できやすいの? | @大人より子どもが、男の子より女の子がかかりやすいと言われています。 A平均気温が5℃前後で、1日の気温の差が大きい時に起こりやすいと言われています。 B手足まわりの湿度が高かったり、皮膚を濡れたままほおっておくと、皮膚から熱が奪われて、皮膚の表面温度が下がり、しもやけになりやすくなります。 |
治療は? | 手足の血行をよくすることが第一です。 温かいお湯に5分〜10分間つけ、水分を十分にふき取ってから、塗り薬を塗って、マッサージをします。お風呂上りにも、同じようにしてあげましょう。 塗り薬としては、ビタミンE軟膏、ヒルドイド軟膏などがあります。 飲み薬としては、ビタミンEと漢方薬(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)あります。しもやけがひどくなる前に飲み始めることをお勧めします。 |
予防方法は? | @手足は濡れたままにしない。(手足が濡れたら、しっかりふき取る。靴は乾燥させ、手袋や靴下が濡れた場合は早く取り替える) A先が細い靴(きつい靴)や、ヒールの高い靴を履くと、足の指先が圧迫されて血行不良になるので しもやけになりやすいので、避ける。 Bむれやすい靴下、足首をしめつける靴下は避ける。 |
Q.現在(H21.11月下旬)流行しているのは新型ですか?季節性はないのですか? | A.今 流行しているA型インフルエンザは すべて新型インフルエンザです。愛媛県衛生研究所のホームページ(http://www.pref.ehime.jp/040hokenhukushi/140eikanken)のインフルエンザ情報に県内でのウイルス検査の結果が掲載されていますが、愛媛県では今夏以降、新型インフルエンザしか見つかっていません。 東京都健康安全研究センターのホームページ(http://www.tokyo-eiken.go.jp/)でも、今秋は新型インフルエンザしか見つかっていません。 |
Q.現在インフルエンザは どの程度 流行しているのですか? | A.2009年第46週(11/9から11/15)のインフルエンザ患者報告数が、松山市保健所館内の定点医療機関当り29.5となり、警報の基準値である30に近づいてきました。警報は大きな流行の発生・継続が疑われることを示します。 |
Q.インフルエンザの定点報告って何? | A.インフルエンザに限らず、はしかや水ぼうそうなどの感染症の流行を把握するため、愛媛県内61の医療機関が定点医療機関に指定され、毎週の患者数を保健所に報告しています。そして、定点医療機関からの患者数および1定点医療機関当りの患者数が愛媛県衛生研究所のホームページや新聞などに公表されています。 松山市内には17の定点医療機関があり、当院も定点医療機関に指定されています。 |
Q.インフルエンザにかかったかな?と思ったら すぐに医療機関を受診しないといけないのでしょうか? | A.重い症状でなければ、あわてて受診する必要はありません。特にインフルエンザ迅速検査は発熱してすぐは陽性にでないことが多いので、肺炎や脳症を疑わせる症状がなければ、熱が出てから半日ないし1日程度様子を見てから昼の間に診察を受けるようにしてください。熱が出たからといってあわって急患センターや休日診療所に行く必要なありません。 |
Q.急いで医療機関を受診しないといけない場合は どんなときでしょうか? | A.新型インフルエンザはほとんどの場合、タミフル・リレンザにより2〜3日で軽快しますが、ごくまれに肺炎や脳症を起こして重症化します。肺炎は発病後すぐに起こる場合と発症4〜5日後に起こる場合があります。呼吸困難、顔色不良があると肺炎が疑われますので、このような場合は急いで医療機関を受診してください。 脳症は発病後すぐに起こることが多く、けいれん、意識障害、異常行動などの症状がみられます。発熱、倦怠感などのインフルエンザ症状に加え、このような症状がみられた場合は急いで医療機関を受診してください。 |
新型インフルエンザワクチンの接種が始まります。来年の3月までに国産ワクチンが2700万人分、海外産ワクチンが5000万人分供給され、当院でも11月から接種を行う予定です。新型インフルエンザは肺炎や脳症を起こして重症化することがわかっています。新型インフルエンザワクチンは、重症化を予防する効果が期待されていますが、感染を予防する効果は証明されていないため、接種したからといって罹らないわけではありません。 | |
スケジュールは? | 医療従事者が10月下旬から、妊婦と基礎疾患のある人が11月中旬から、1歳から小学校低学年までが12月中旬から、1歳未満の子どもを持つ保護者と小学校高学年・中学生・高校生、高齢者(65歳以上)が来年1月から接種を開始します。具体的なスケジュールは決まっていませんので、決まり次第、ホームページまたは院内掲示でお知らせします。 |
基礎疾患とは? |
基礎疾患は下記の9つです。但し、疾患ごとに対象となるかどうかの基準がありますので、医師に確認してください。受付にも資料を置いてあります。特に、愛媛大学、県病院、日赤などに通院されている方は該当するかどうかを主治医に確認してください。1)慢性呼吸器疾患、2)慢性心疾患、3)慢性腎疾患、4)肝硬変、5)神経疾患・神経筋疾患、6)血液疾患、7)糖尿病、8)疾患や治療に伴う免疫抑制状態(HIV・悪性腫瘍、内分泌疾患、関節 リウマチ・膠原病、消化器疾患)、9)喘息、先天性心疾患、脳性まひ、難治性てんかん、重症心身障害児、先天性代謝異常、小児がん、ホルモン異常などの小児の疾患 |
接種回数は? | 13歳未満は2回接種、13歳以上は1回接種になりそうです。妊婦は2回という意見もあり、回数については流動的です。新聞報道などでご確認ください。決まり次第、訂正します。 |
費用は? |
全国一律で、1回目3600円、2回目2550円です。(但し、1回目と2回目を違う医療機関で受けると2回目も3600円かかります。) |
効果はどれくらい続きますか? |
効果は2回目接種後2週間から5か月程度続きます。 |
すでに新型に感染した人は接種するの? |
すでに新型に罹ってしまった人は新型ワクチンをする必要はありません。ただ、新型かどうかはっきりしない場合は接種をしてもさしつかえありません。 |
季節性ワクチンは新型に効果があるの? |
従来の季節性ワクチンは新型インフルエンザに効果はありません。 |
季節性ワクチンと新型ワクチンを同時に接種することはできますか? |
国産の新型ワクチンと季節性ワクチンは同時接種することが可能です。 海外産の新型ワクチンと季節性ワクチンは同時接種することはできません。 |
妊娠中・授乳中も接種できますか? | 接種できます。妊娠中については妊娠週数に関係なく接種可能です。 |
安全性は? |
国産ワクチンについては季節性インフルエンザと同じ方法で製造されるため、安全性は季節性ワクチンと同じと考えられています。海外産については現在、国内で臨床試験が行なわれているところなので、年末までには政府から発表されるはずです。 |
副反応に対する救済措置はありますか? | 副反応による健康被害には行政の救済措置があります。 |
新型インフルエンザが少しずつ増えています。新型は、季節性インフルエンザよりも伝染力が強いため、従来よりきちんとした予防対策が必要です。 | |
症状 | 症状は従来の季節性インフルエンザとほぼ同じです。多くは5日間程度の経過で軽快しますが、まれに肺炎や脳症などの合併症がみられます。季節性に比べて合併症を起こしやすいため、致命率は季節性インフルエンザより数倍高いと言われています。 脳症は 発病当日から2日間、肺炎は4〜5日目に多くみられます。けいれん、異常行動、顔色不良、呼吸困難などがみられたら、急いで医療機関を受診してください。 |
診断 | インフルエンザを疑わせる症状と、まわりの感染状況から診断します。迅速検査キットも使いますが、陽性率70%ほどで、季節性インフルエンザより低いと言われています。また、鼻水中のウイルスが多くないと検査は陽性にならないので、発熱してすぐに検査しても陽性になりません。検査結果は あくまで参考にしかすぎません。尚、迅速キットで季節性と新型を区別することはできません。 |
治療 | タミフルまたはリレンザを5日間投与します。新型インフルエンザは、持病を持っていない場合でも重症化することがありますので、合併症を防ぐために5日間きちんと薬を飲んで(吸入して)ください。 |
学校の出席停止 | 学校の出席停止日数については@発熱後7日間とA解熱後2日、の2つの基準がありますが、タミフルを使うようになってから、この2つに大きな差が出るようになりました。新型の場合は原則的に@の基準を用います。 今回の新型インフルエンザでは、感染の拡大を防ぐために解熱後2日過ぎても咳などの症状が続いている場合は自宅療養を続けることになっています。インフルエンザにかかった場合は、必ず医師の承認を得てから登校するようにしてください。 |
子どもの貧血はわりとよくみられる病気です。その原因はいろいろありますが、白血病、造血障害、遺伝性の貧血などはまれで、ほとんどが体の鉄分が不足するために起こる鉄欠乏性貧血です。多くの場合、自覚症状はありませんが、貧血が高度になると、顔色不良、めまい、動機、息切れ、立ちくらみ、いらいらするなどの症状がみられます。 | |
貧血の判断基準 | 血液検査でヘモグロビンの値が基準値より下がると貧血です。 |
原因は? | 乳幼児期に急に体が大きくなったり、母親からもらった鉄の蓄えがなくなったりして、鉄分の必要量が増えたり、離乳がうまく進まなくて鉄分の摂取量が減った時、貧血になりやすいです。 思春期に、急に体が大きくなったり、女の子は生理が始まったり、過度の運動により鉄分の必要量が増えたり、不規則な食事やダイエットにより摂取量が減った時、貧血になりやすいです。 |
検査は? | 血液検査で、血清鉄が下がる、フェリチンが下がる、総鉄結合能(TIBC)が上がる、であれば鉄欠乏性貧血と診断されます。 |
治療は? | @食事から鉄摂取を増やす。肉、魚、卵黄、豆類、海藻、緑黄色野菜を摂る。ビタミンCを多く含む果物、野菜は鉄分の吸収をよくします。 *牛乳は鉄分が少ないので、牛乳を飲んでもダメでかえって貧血になる。 *フォローアップミルクは1.1mg/dlの鉄を含むため9ヶ月以降のミルク栄養児で鉄分摂取が不十分と考えられる場合はフォローアzップに切り替えても良い。 A鉄剤の服用(乳幼児ではシロップもあります) |
鉄欠乏性貧血・・・牛乳貧血 | |
乳児期後半から幼児期にかけて牛乳を多く飲む児におこる貧血 3歳以下で、1日600ml以上牛乳を3ヶ月以上飲んでいる場合は、牛乳貧血を疑う必要がある。 |
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起こる理由は? | 牛乳は鉄の含有量が少なく、吸収率も低い。 牛乳で胃酸が薄められ、鉄の吸収が悪くなる。 カロリーの高い牛乳を飲むことによって、食欲が満たされ、他の食品摂取量が減る。(牛乳を多く飲んでいても、他の食品をしっかり摂っている場合は起こらない。) |
治療は? | 牛乳を飲むのを中止し、鉄剤を投与する。 鉄分を多く含む食品を しっかり摂るよう、食習慣を変えることが大切。 |
鉄欠乏性貧血・・・スポーツ貧血 | |
激しいスポーツを行なっている児にみられます。 | |
起こる理由は? | 毎日2〜3時間の激しいクラブ活動を行なうと、鉄の必要量が2〜3倍増加します。 @筋肉を作るために鉄の必要量が増えます。 A汗には ごく微量の鉄が含まれているため、大量の汗をかくと鉄が失われます。 B運動による筋肉の収縮や、足底の衝撃で血管内の血液が壊れて、鉄分が尿から失われます。 早朝練習や受験勉強による睡眠不足が重なると食欲が低下し、鉄の摂取量が低下します。 |
起こりやすい状況は? | @運動量が多い。 A原料が必要。 B練習時間が長い。 |
治療、予防は? | @鉄分を多く含む食事を摂る。 A運動を減らす。 B発刊をおさえるため、気温、湿度を考慮する。 C足底への衝撃防止。 |
女性化乳房症とは、男性の乳腺が肥大して女性のような乳房になることを言います。 思春期に入った男の子がおっぱいが腫れたということで、ちょっと恥ずかしそうに当院を受診されることがあります。 でも、心配することは ありません。これは思春期を迎えた男子によくみられる現象で、思春期乳腺肥大症とも呼ばれます。なにもしなくても数ヶ月ほどで消失します。おっぱいの腫れは片側のことも両側のこともあります。 |
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原因は? | 思春期には大量の性ホルモンが分泌されるため、男性ホルモンだけでなく女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量も増えることにより起こります。 他にも@〜Dが原因で女性化乳房が起こることがありますので これらが疑われる場合は検査が必要です。 @肥満(脂肪細胞で男性ホルモンが女性ホルモンに変わります) A肝疾患(肝炎、肝癌、肝硬変)、慢性肺疾患、腎疾患、糖尿病など Bホルモン異常、ホルモン産生腫瘍 C薬品(各種ホルモン剤、筋肉増強剤、降圧剤、強心剤、育毛剤など) D食品(女性ホルモンを多く含む牛乳が問題になったことがあります) @〜Dが原因の場合は、原因となっている病気の治療が必要です。 |
こんな時は受診してください | @乳房の肥大が顕著な場合 A強い痛みを伴う場合 B1年たってもよくならない場合 C思春期でもないのに乳房が大きくなった場合 |
治療は? | 乳房の痛みが強い場合を除き自然に治るのを待ちます。 |
出席停止について、平成10年12月、学校保険法施行規則の一部改正が行なわれ、平成11年3月、文部科学省(当時は文部省)から『学校において予防すべき伝染病の解説』で 学校関係者、医療関係者等への周知がはかられました。しかし、現場では出席停止の期間、第三種の感染症に分類されている『その他の感染症』の取り扱い等について、まだなお、若干の混乱が認められます。
今回、学校保険法が学校保健安全法に改正され、『学校において予防すべき伝染病』が『学校において予防すべき感染症』と改められたことを契機に、今一度、県内の学校関係者、医療関係者等への周知を目的に、学校・医療機関等での出席停止の期間の目安、その他の感染症の取り扱い等を整理し直しましたので、参考にしてください。
学校において予防すべき感染症 | 出席停止の期間の基準 | |
第一種の感染症 | エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘瘡、南米出血熱、ペスト、 マールブルグ病、ラッサ熱、ポリオ、ジフテリア、 重症急性呼吸器症候群(SARSウイルスであるものに限る)、 鳥インフルエンザ(H5N1であるものに限る) |
治癒するまで |
第二種の感染症 | インフルエンザ | 解熱した後、2日を経過するまで |
百日咳 | 特有の咳が消失するまで | |
麻疹(はしか) | 解熱した後、3日を経過するまで | |
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 耳下腺の腫脹が消失するまで | |
風疹 | 発疹が消失するまで | |
水痘(みずぼうそう) | すべての発疹が痂皮化する(かさぶたになる)まで | |
咽頭結膜熱(プール熱) | 主要症状が消失した後2日を経過するまで | |
結核 | 医師が感染の恐れがないと認めるまで | |
第三種の感染症 | コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス | 治癒するまで |
腸管出血性大腸炎 | 症状がある場合は医師による判断 症状がない場合は出席停止の必要はない |
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流行性角結膜炎(はやり目) | 医師による判断 おおむね7日間 | |
急性出血性結膜炎 | 医師による判断 おおむね4日間 | |
その他の感染症 | 表以下 |
第三種の感染症に分類されている『その他の感染症』については、学校で流行が起こった場合に その流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症として措置を講じることができる疾患です。そのような疾患は多数ありますが、学校で しばしば流行する疾患を以下の二つに分けて例示します。出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上、判断する必要があります。なお、隣接する学校・地域によって取り扱いが異なることによる混乱を防ぐため、郡市医師会単位などの教育委員会や医師会などで調整しておくことも必要です。
@条件によっては出席停止の措置が必要 と考えられる感染症の例 | 溶連菌感染症 | 治療開始後24時間経過すれば登校可能 (適切な治療が行なわればほとんどの場合 病原菌は抑制できる) |
ウイルス性肝炎 | A型:肝機能が回復または症状が改善すれば登校可能 (病初期を過ぎれば感染力は なくなる。黄疸出現期に感染力はない。その後も安静が必要なので病状回復後は感染力はない) B・C型:出席停止不要 (血液を介さない限り感染の恐れはないので出席停止の必要はない) |
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手足口病 | 解熱し、口内の症状が改善すれば登校可能 (糞便中に2〜4週ウイルス排泄があるが、解熱して元気になれば感染力は急激に弱くなるので登校は可能) |
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伝染性紅斑 | 出席停止不要 (発疹が出て診断がついたときには感染力はないので不要) |
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ヘルパンギーナ | 解熱し、口内の症状が改善すれば登校可能 (手足口病と同じ) |
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マイコプラズマ感染症 | 症状改善し状態がよくなれば登校可能 (感染力が強い急性期が終わって症状が改善し全身状態がよくなれば登校可能 |
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流行性嘔吐下痢症 | 嘔吐なく下痢も改善すれば登校可能 (ウイルス性腸管感染症は、症状のある間が主なウイルスの排泄期間であるため、症状から回復した後、全身状態のよい者は登校可能) |
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A出席停止の措置までは必要でない と考えられる疾患の例 |
アタマジラミ | 出席停止の必要はないが、治療は必要。プールでは、タオルやブラシの共有は避ける、帽子をかぶるといった注意が必要。 |
水いぼ(伝染性軟属腫) | 出席停止や水遊び禁止の必要はないが、感染予防のため遊具(水泳プールでのビート板や浮き輪等)は共有しないなどの配慮が必要 | |
伝染性膿痂疹(とびひ) | 出席停止の必要はないが、治療は必要、直接皮膚が接触しないなどの配慮が必要、プールは罹患児と一緒にしない、入浴はシャワーが望ましい |
ヒスタミン食中毒とは? | ヒスタミンを大量に含む魚介類を食べてすぐに、嘔吐、下痢、じんましん、顔が赤く腫れる といった症状を起こす食中毒です。アレルギー症状に似ているため、アレルギー様食中毒とも呼ばれます。 |
原因は? | 低温流通が発達した現在では まれな食中毒です。魚を獲ってから食べるまでの間の温度管理が悪いと、魚についている細菌が増えます。その細菌が、赤味魚に多く含まれるヒスチジンというアミノ酸をヒスタミンに変えることで、大量のヒスタミンが魚の中に作られます。このヒスタミンがアレルギー症状を引き起こすのです。一度できてしまったヒスタミンは、102℃で3時間加熱しても ほとんど壊れないため、過熱しても食中毒を防ぐことはできません。 |
原因となる食べ物は? | マグロ、カツオ、サバ、イワシ、アジなどの赤味(青)魚 およびその加工品(干物、缶詰)。まれに鶏肉、ハム、チーズが原因となります。 |
症状は? | @食直後から1時間以内に発症し、半日以内に治ります。 A舌がピリピリする、顔面が紅潮し腫れる、じんましんが出るなどのアレルギーに似た症状が出ます。また、嘔吐、下痢、腹痛などを伴うことがあります。 |
アレルギーとの違いは? | サバアレルギーでは血液検査をするとアレルギー抗体(IgE)が高くなります。血液検査でアレルギー抗体がない場合はヒスタミン食中毒の可能性が高いと考えます。 |
治療は? | 抗ヒスタミン剤を飲むことで速やかに回復します。 |
予防方法は? | @新鮮な魚を信頼できる店で購入する。 A買ってきた魚は速やかに冷蔵、冷凍し、絶対に室温で放置しない。 B加熱しても食中毒は防ぐことはできないので、古くなったと思ったら食べない。 |
カンジダという真菌(カビ)が口の中や皮膚などに寄生することによって起こります。カンジダは人間の口の中、消化管、皮膚などに元々存在していますが、健康な人では病気を起こしません。免疫力が低下するとカンジダ症を発症します。また、赤ちゃんは免疫力が未熟なため、よくカンジダ症がみられます。 | |
口腔内カンジダ症(鵞口瘡) | 口の中のカンジダが口腔の粘膜に寄生しておこる病気で赤ちゃんに よくみられます。唇や頬の粘膜に白いコケ状のものがつきます。ミルクかすが引っ付いたように見えますが、綿棒などでこすっても なかなか取れません。さらにひどくなると粘膜が赤くただれたようになったりします。 ★真菌を殺すゼリーや紫色の染色液を塗ることで治すことができます。 |
皮膚カンジダ症 | 皮膚にカンジダが寄生して起こる病気で、紅色の丘疹、薄皮を伴った赤い発疹(紅斑)、小さな膿を伴った発疹(膿ほう)などがみられます。乳児では おむつの当たるところによくでき、乳児寄生菌性紅斑とも呼ばれます。赤味が強いことと、健常な皮膚との境界が はっきりしているのが特徴です。また、ステロイド入り軟膏を塗ってもよくならず、かえって悪化します。 ★真菌を殺す塗り薬で治療します。 |
爪カンジダ症 | 成人では水仕事が原因になりますが、幼児では指吸いが原因になります。爪の変形、肥厚がおこり、爪の色が厚褐色に混濁するようになります。指吸いの習慣を止めることが重要です。 ★真菌を殺す薬を使います。 |
血液が皮膚に染み出たものです。普通の湿疹に比べて赤みが強く(濃い赤色)、指で押さえても赤い色が消えないことが特徴です。 出血斑のできる主な原因は、@打撲による皮下出血、A圧迫などによるうっ血、B血管の異常、C血液の異常です。 |
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心配のない出血斑 | 圧迫などによるうっ血でできる出血斑は心配ありません。うっ血したところだけに出血斑ができます。全身(特に足)にできないのが特徴です。 腕にゴムなどを巻いて圧迫した時にできるもの(採血した時など) おお泣きしたり、咳き込んだり吐いたりした時に目のまわりにできるもの |
アレルギー性紫斑病 | 急に細い血管がもろくなって出血しやすくなる病気です。血管性紫斑病、アナフェラクトイド紫斑病、シェーラインヘノッホ紫斑病とも呼ばれます。 |
症状:足を中心に、全身に紫斑(出血斑)が出現します。 関節の痛みや腫れ、手足のむくみがみられることがあります。 強い腹痛や血便がみられることがあります。 紫斑が出てから1ヶ月以内に腎炎(血尿や蛋白尿がみられます)を発症することがあります。 |
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治療:特別な治療はなく、安静にして経過をみることになります。 腹痛や血便がみられた場合、腎炎になった場合は入院治療が必要になります。 |
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血小板減少性紫斑病 | 血液中の血小板が減ることにより出血しやすくなる病気です。 |
症状:足を中心に、全身に紫斑(出血斑)が出現します。 鼻出血、血便、血尿などがみられることがあります。 血液検査で血小板が減少します。(アレルギー性紫斑病では血小板数は正常です) *白血病などでも血小板が減少して紫斑(出血斑)がみられますので、当院の検査で血小板数が減少していることが判明したら、病院で精密検査が必要です。 |
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治療:入院治療が必要です。ガンマグロブリンやステロイドなどで治療します。 |
単純ヘルペスが原因で起こる感染症です。唾液や接触により他の人に感染します。特に赤ちゃんは単純ヘルペスに対して免疫がないので注意が必要です。 | |
ヘルペス性歯肉口内炎 | 3歳くらいまでの乳幼児にみられます。ほとんどが初めて単純ヘルペスに感染した時に起こります。潜伏期が2〜7日、その後高熱(しばしば39度台)が出、口内炎や口唇や口のまわりに水疱ができ、歯肉炎(歯肉が腫れて、ちょっと触れただけで出血する)となり、だいたい7〜14日で治ります。治療はヘルペスウイルスを抑える飲み薬を使います。 |
口唇ヘルペス | 3歳以降の小児、成人でみられます。口まわりの皮膚に違和感(ピリピリ、チクチク)があると半日ぐらいして、赤く腫れ、2〜3日で赤く腫れた上に水ぶくれができ、4〜5日でかさぶたになって治ります。治療はヘルペスウイルスを抑える軟膏を使います。 |
カポジ水痘様発疹症 | 5歳くらいまでの乳幼児にみられます。単純ヘルペスウイルスの発疹が全身に拡がったもので、症状が『みずぼうそう(水痘)』に似ているためにこのような病名がついています。湿疹やアトピー性皮膚炎がある子が初感染した時に起こります。治療はヘルペスウイルスを抑える飲み薬を使います。 |
おしりのところ、肛門の少し上、ちょうど尾骨付近の正中に皮膚の 『くぼみ』があることがあります。これは『先天性皮膚洞』といわれるもので、生まれつきのものです。発症頻度は2500人に対して1人位と推定されています。 | |
症状 | 大抵は皮膚の『くぼみ』が浅く、ほとんど問題ありませんが、まれに奥の神経(脊髄神経)まで つながっていたり、くぼみの奥に脂肪腫などの腫瘍があることがあります。このような場合は成長とともに脊髄神経が引っ張られたり、腫瘍に圧迫されたりして、歩行障害や排尿や排便の異常がおこることがあります。また、皮膚洞から細菌が脊髄に入って『細菌性髄膜炎』を起こすこともあります。 一般的に『くぼみ』の深いもの、肛門から3cm以上離れているもの、正中を外れるものは症状を出すことが多いといわれています。もし、『くぼみ』が皮膚できちんと覆われていない場合は、細菌が脊髄に入るので、すぐ脳神経外科を受診する必要があります。 |
検査と治療 | 皮膚洞が脊髄神経まで つながっているかどうか、奥に腫瘍があるかどうかはMRI検査を受けるとわかります。このような場合は脳神経外科で手術が必要です。 皮膚の『くぼみ』が浅くても、脊髄神経までつながっていることがあるので、当院では1歳位までに脳神経外科に紹介するようにしています。乳児健診で皮膚洞を指摘された後一度も脳神経外科を受診されてない場合は、紹介状を書きますので、ご連絡ください。 |
帯状疱疹とは? | みずぼうそうが治った後、みずぼうそうのウイルスは脊髄の神経に静かにひそんでいます。体調が悪くなったような時、神経から出てきて活動をし始め、皮膚に水泡を作ります。他の人からもらって発症するわけではありません。 *水疱は帯状に片半身にできるのが特徴です。 *ピリピリと痛みを伴います。 帯状疱疹の水疱の中には、みずぼうそうのウイルスがいるため、みずぼうそうの感染源になります。みずぼうそうに 罹ったことのない子と接触すると、その子どもは2週間後に みずぼうそうを発症します。 *みずぼうそうに罹ってない子は 帯状疱疹になりません。 *みずぼうそうワクチンをして、みずぼうそうに罹らなければ、帯状疱疹に なることはありません。 |
治療 | 通常、治るのに1週間ほどかかりますが、特効薬があり、これを服用すると、早く軽く治すことができます。 |
家庭で気をつけること | ひっかくと、傷になったり、とびひになることがありますので、皮膚を清潔にしておきましょう。 軽くお風呂に入ってもかまいません。 |
通園や通学 | 帯状疱疹は、みずぼうそうの感染源になりますので、すべて水疱が かさぶたになるまでは、園や学校は、お休みしてください。 |
余談ですが・・・ | 昨年放送されたNHKの『ためしてガッテン』で帯状疱疹の予防に水疱(みずぼうそう)ワクチンが効くというのがあり、当院にも何件か問い合わせがありました。2005年にアメリカで発表された研究論文で60歳以上の人を対象に、みずぼうそうのワクチンを接種すると、帯状疱疹の発症率が1/2となり、神経痛の発症率は1/3になるという結果が得られ、予防効果が認められています。すでにアメリカでは、60歳以上の人に みずぼうそうのワクチンを接種することが奨励されています。 日本では、まだ一般的ではありませんが、ワクチン接種は可能です。ただし、このワクチンは任意接種となります。 *子どもの帯状疱疹の予防には、みずぼうそうワクチンは使いません。 |