今月の病気(平成26年)
タミフル服用後に異常行動を起こして転落死したケースが報告されてから、10代の子どもには原則としてタミフルを使用しないことになりましたが、タミフル以外の薬や服薬していない場合でも異常行動がみられることがありますので、注意が必要です。 | |
異常行動とはどのようなものですか? | 急に走り出す,ウロウロする,うわごとを言う,理由なく起こったり泣いたりする、幻覚をみるなど、「普段ではあり得ない理解不可能な言動」をいいます。 厚生労働省ホームページには次のような例が挙げられています。 ・突然立ち上がって部屋から出ようとする。 ・興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。 ・興奮して窓を開けてベランダに出ようとする。 ・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。 ・人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。 ・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。 ・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。 異常行動のほとんどは、5分から30分位で治まります |
異常行動がみられた子どもの特徴は? | 異常行動は、@男子の方が女子よりも多い、Aどの年齢の子どもでもみられるが、小学生が多いため、小学生以上の男子が要注意です。 また、以前発熱した時(インフルエンザまたは他の病気)に異常行動がみられた子どもも要注意です。 |
異常行動はインフルエンザの薬が原因? | タミフル服薬後の異常行動がよく知られていますが、タミフル以外の薬(リレンザ、イナビル、ラピアクタ)でも異常行動はみられます。インフルエンザの薬を飲んでない場合にもみられますので、異常行動はインフルエンザという病気の特徴と考えられています。 |
異常行動はいつ起こりやすいのですか? | 異常行動のほとんどが発病(発熱)して48時間以内に起きています。また、異常行動のほとんどが睡眠時または眠りから覚めた直後に起こっています。起きていて徐々に行動異常が出ることはまれです。したがって、発熱がみられた後の昼寝または夜間睡眠から覚めた直後は特に要注意です。 |
異常行動は熱が出ている時しか出ないのですか? | 異常行動の多くは高熱時にみられていますが、熱が下がってから異常行動が起こることもあります。熱が下がっていても、発症後2日間は異常行動に注意してください。 |
異常行動から子どもを守るために気をつけることは? | ・発病後2日は子どもが一人にならないようにする ・走り回った時に怪我をしないよう、危険なものを近くに置かない ・子どもを一人で家の外に出さないようにする ・子どもの寝室が2階以上にある場合、ベランダなどに出られないよう戸締りをする ・家の中の階段は登らさないようにする ※ベランダへ出たり、外に飛び出したりしようとした場合は、周囲の人が抑制して、重大な事故にならないよう子どもを守る必要があります。 |
子どもは皮膚が薄いため、同じ温度でも大人に比べてやけどが深くなります | |||||||||||||||||||||||||
やけどの深さ | T度 皮膚の表面が赤くなった状態 (日焼けと同じ状態です) ヒリヒリしますが、あとは残らず、数日で治ります U度 水ぶくれができて、赤く腫れた状態 やけどは浅い場合と深い場合があります。 一般的に痛みが強い時は浅いやけど、痛みが軽い(痛みの感覚が失われる)場合は深いやけどです 浅い場合、あとはあまり残らず、1〜2週間で治ります 深い場合、あとが残りやすく、治るまで1〜2ヶ月かかります V度 黒く焦げた状態 感覚が失われて痛みはありません。あとが残り、植皮が必要になります。治療に2ヶ月以上かかります |
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やけどの広さ |
手のひらの大きさを1%として判定します
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やけどの応急処置 |
すぐに、十分に冷やすことでやけどの進行を防ぎます。 |
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受診の目安 | 1)やけどの範囲が手のひらの面積より広い場合(全身の1%以上)は病院を受診してください。 2)関節部分、手のひら、顔のやけど 手のひらや指などの関節部分をやけどしたときには、時間とともにひきつれることがあるため受診が必要です |
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やけどの予防 | 子どもの手の届く所に熱い物を置かようにしてください。 電気ケトルやポット、炊飯器は床などに置かないようにします。コードが子どもの手に届くところに垂れさがっていると、コードを引っ張ることでケトルが転倒してお湯が飛び散るので危険です。 熱い飲み物が入ったカップなどは手の届かないテーブルの真ん中に置きましょう。 アイロンがけする時は、アイロンから目を離してはいけません。使用後はすぐに片付けましょう。 |
当院で最も多い赤ちゃんの転落事故は『大人用ベッドからの転落事故』です。 赤ちゃんが寝がえりをするのは、生後6ヶ月頃と思っている人が多いようですが、実は赤ちゃんが初めて寝返りをするのは、生後3ヶ月から生後9ヶ月頃までと、非常に個人差があります。 事故にあったお母さんに聞いてみると、「まだ寝返りしないから大丈夫だろうと思って」とか「初めての寝返りだったから」とかいう話を多く耳にしました。 赤ちゃんは、ある日突然、寝返りを始めます。赤ちゃんはベビーベッドに寝かしてください。大人用のベッドに寝かした時は、目を離さないようにしてください。「振り向いたら転落していた」ということが多いのです。 |
抱っこひもやスリングからの転落事故 抱っこひもは、抱っことおんぶの両方ができるタイプのものが多く販売され、赤ちゃんの移動手段としてよく使われていますが、抱っこひもからの転落事故が多く報告されています。親が立った状態で赤ちゃんが抱っこひもから転落すると、1mの高さから転落することになり、下が舗装道路などの硬い地面だった場合、頭蓋骨骨折や脳内出血などの重大事故につながります。転落した子どもの大半は1歳以下で、入院のほとんどは4ヶ月以下の乳児です。 抱っこひもの転落事故はこういう状況で起こっています。 @着脱時 おんぶしようと背負い上げた時に、子供が動いて床に転落 抱っこから、おんぶに変えようとして、背負い上げた時に床に転落 <事故の予防> 着け外しは、しゃがんで行ってください。布団の上など、落ちても大丈夫な所でするのもお勧めです。立ったままの着脱はとても危険なので止めてください。 A前かがみになった時 落ちた物を拾おうと前かがみになった時に、頭から地面に転落 <事故の予防> 一番の予防は、前かがみになるのは止めて、しゃがむようにすることです。 前かがみになる時は子どもをしっかり手で支えましょうと書かれているものもありますが、子どもが動くとうまくいかないことも多いようです。 Bひもや留め具の外れ や Cすき間からのすり抜け <事故の予防> 抱っこひもを使う前に、使用説明書をきちんと読んで正しい使い方をしてください。 ひもや留め具が外れたり、ひもがゆるんで隙間ができたりしないよう気をつけてください。 使用中に、ひものゆるみに気づいたら、立ったまま直すのは危険です。着脱と同じで、しゃがんで直すようにしてください。 ※ スリングでは布で口や鼻をふさがれたり、首を過度に前屈されることによる窒息事故も報告されているので、注意が必要です。 |
大人はB型肝炎ウイルスに感染すると、不顕性感染または急性肝炎を発症した後、一部は慢性肝炎<持続感染>に移行しますが、多くは治ります。 |
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原因は? |
B型肝炎キャリアの血液や体液と接触することで感染します。 |
その後の 経過は? |
B型肝炎キャリアの90%は10〜30歳代に一過性の肝炎を起こしますが、その後症状のないキャリアとして生涯を過ごします。しかし、10%は慢性肝炎へ移行し、肝硬変、肝がんへと進行する危険性があるとされています。 |
最近、問題に なっていること |
@B型肝炎ウイルス“Aタイプ”の増加 B型肝炎ウイルスには、A〜Jの10種類の遺伝子タイプがあります。今まで日本には“Cタイプ”が多かったのですが、2000年以降“Aタイプ”が増加し、最近では“Aタイプ”が約半分を占めるようになってきました。 “Cタイプ”は急性肝炎の症状は強いが、慢性肝炎に移行する割合は10%と低い “Aタイプ”は元々欧米に多いタイプで、急性肝炎の症状は軽いが、慢性肝炎に移行する割合が20〜30%と高いという特徴があります。 “Aタイプ”が増えると、慢性肝炎⇒肝硬変⇒肝がん が増えます。 A 再活性化 急性肝炎が治ったら体内から消失すると考えられていたB型肝炎ウイルスが、治った後も、健康上問題はないものの肝臓にごく微量に存在することが明らかになってきました。このごく微量に存在する肝炎ウイルスが、抗がん剤や免疫を抑える治療を受けた後に再び増殖(再活性化)して劇症肝炎を引き起こすことがあり、問題となっています。 |
予防は? | ワクチンでB型肝炎を予防しましょう!! B型肝炎に罹ってしまうととてもやっかいです。 B型肝炎ワクチンは成人より、乳幼児の方がより高い効果が得られます。 B型肝炎ワクチンを乳幼児期に受けることをお勧めします。 ※母親がB型肝炎キャリアの場合は無料でワクチンを受けることができます。 |
平成26年10月1日から水痘ワクチンが定期接種(無料)になりました ≪対象年齢≫ 1歳と2歳児 ≪接種方法≫ 水痘ワクチンを3ヶ月以上の間隔をあけて2回接種します (要注意)2回目が3歳の誕生日以降になる場合は、2回目は無料になりません! ≪標準的な接種期間≫ @生後12ヶ月から生後15ヶ月に至るまでに初回接種を行います A 初回接種後6ヶ月から12ヶ月の間隔をあけて追加接種(2回目)を行います ≪注意≫ @ すでに水痘に罹ったことがある小児は対象外となります A 今までに任意で水痘ワクチンの接種を3ヶ月以上の間隔を開けて2回受けたことがある小児は、対象外となります (但し、2回接種したが、接種間隔が3ヶ月未満の場合は、2回目の接種はなかったものとし、Bに該当します) B 今までに任意で水痘ワクチンの接種を1回受けたことがある小児は、1回だけ無料で接種を受けることができます (但し、1回目から3ヶ月以上経過していないと接種できません) |
平成27年3月31日までの経過措置で、3歳、4歳児は1回だけ無料で接種を受けることができます ≪対象年齢≫ 3歳と4歳児 ≪接種方法≫ 水痘ワクチンを1回接種します ≪注意≫ @ すでに水痘に罹ったことがある小児は対象外となります A 今までに任意で水痘ワクチンの接種を1回でも受けたことがある小児は、対象外となります |
結膜の充血と目やにが1週間以上続きます。感染力が強くて流行するため、はやり目と呼ばれます。 |
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原因は? | アデノウイルス(主に8型)が原因で起こる結膜炎です。感染力がとても強く、感染している子どもが顔を拭いたタオルでよその子の顔を拭くと、その子が感染してしまいます。 |
症状は? |
感染者と接触して、5〜14日(潜伏期間)した後に、結膜の充血、眼脂(目やに)、目の異物感、などの症状が起こります。結膜の充血は1週間ほど続きます。片側の結膜充血が終わった後に、反対側の結膜が充血することもあります。そのような場合は2週間近く充血が続きます。 |
検査は? | 眼瞼結膜を綿棒でこすり、アデノウイルスがいるかどうか検査をします。10分ほどで結果が出ます。 |
治療は? | ウイルスをやっつける薬がないため、対症療法が主体になります。細菌による混合感染を防ぐため、抗生剤を点眼したり、炎症を抑えるためにステロイド薬の点眼をしたりします。充血が角膜に及ぶと視力障害が起こすことがあるので、充血が黒目に近づいた場合は、眼科に紹介しています。 |
予防は? | アデノウイルスは感染力が強いので、他の子どもにうつさないように注意してください。手で目を触るとウイルスが手に付着します。その手で物を触ると触ったものにウイルスが付着し、それを誰かが触るとその手にウイルスが着きます。ウイルスが着いた手で眼を触ると感染してしまいます。 @結膜炎になったら、目を触らないようにする。A(目を触ったら)石鹸でしっかりと手洗いしてください。市販されている70%アルコールは予防に効果的です。Bタオルの共用は決してしないでください。風呂はいちばん最後に入ることをお勧めします。 |
お母さんのカフェインの多量摂取が、赤ちゃんの不眠(睡眠時間が短くなる)やイライラ(興奮)の原因になることがあります。おっぱいが足りているにもかかわらず、赤ちゃんがあまり眠らない、眠りが浅い、などと感じられるお母さんは、カフェインの摂りすぎがないか、考えてみましょう。 |
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赤ちゃんへの 移行は? | お母さんがコーヒーなどを飲むことで、摂取したカフェインの約1%が母乳に移行すると言われています。一般的にコーヒーを3杯飲んで、300mgのカフェインを摂取したとすると、赤ちゃんへは3mgのカフェインが移行することになります。 赤ちゃんは5〜10mg/日位までなら摂取しても大丈夫なので、コーヒー3杯程度は問題ないと言われていますが、@コーヒー以外からも多く摂取したり、Aコーヒーを毎日飲み続けてることで、赤ちゃんにカフェインが蓄積する可能性があります。 |
赤ちゃんの 代謝能力は? |
成人ではカフェインはすぐ代謝されます(半減期3.5時間)が、赤ちゃんは肝臓の機能が未熟なため、カフェインの代謝が悪く(半減期80時間)、体内に入ったカフェインはすぐには減りません。そのため、赤ちゃんではカフェインが蓄積しやすいのです。 ※半減期:血液中の濃度を半分にするのに要する時間。 |
症状は? | @
不眠・・・・寝つきが悪い、睡眠時間が短い A 興奮・・・・イライラ、甲高く泣く。 |
治療は? | カフェイン接種を止めて赤ちゃんがよく眠るようになったら、カフェインが原因だったと推測されます。 |
妊婦さんが妊娠初期に風しんに罹ると、風しんウイルスがお腹の中の胎児に感染して、先天性風しん症候群という病気を引き起こすことがあります。先天性風しん症候群の発生頻度は、妊娠1 カ月で50%以上、2カ月で35%、3カ月で18%、4カ月で8%程度と言われています。 |
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症状は? |
3大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。 |
予防法は? |
先天性風しん症候群自体を治す方法はないので、発症を予防することが大切です。 |
ウイルス性胃腸炎の中で最も症状が重く、嘔吐と下痢がしつこく続きます。高熱を伴うことが多く、点滴や入院が必要になることが多いのが特徴です。日本では毎年80万人が外来を受診し、約8万人が入院し、10〜20人が死亡すると言われています。 |
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どんな病気? | ロタウイルスが原因で起こるウイルス性胃腸炎です。2月〜4月に流行し、生後6ヶ月から5歳までの小児が発症します。 |
症状は? |
嘔吐、下痢、発熱が主な症状です。ノロウイルスなど他のウイルス性胃腸炎に比べて、症状が重いのが特徴です。 |
感染経路は? |
便や吐物に排泄されたウイルスが手指を介し、口から体内に入ってきます。 |
予防法は? | ロタウイルスワクチンで重症化を予防できます。 |
子どもが高所から転落することなどで起こります。比較的多い骨折で、当院でも何人か診断していますが、不思議とソファーから転落した子が多いです。 |
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原因は? | 子どもが転倒して手、腕(肘)、肩を床や地面についた時に、その衝撃が鎖骨に伝わることで骨折を引き起こします。鎖骨を直接打撲することで骨折するのはまれと言われています。 |
症状は? |
腕や肩のあたりを痛がります。 |
診断は? |
レントゲン検査で骨折を確認します。 |
治療は? | 整形外科でバンドなどを使って固定します。 当院では、レントゲン検査を行って、疑わしい場合は整形外科に紹介しています。 |
ビタミンDの摂取不足により起こります。ビタミンDが不足すると、骨にカルシウムが沈着して石灰化することが阻害されるため、骨の成長が妨げられます。その結果、幼児でO脚(X脚)で歩き方がぎこちないなどの症状が出ます。 |
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症状は? | @
骨の変形・・・O脚、X脚、背骨の弯曲が見られます ※O脚の基準は、立たせて(または寝かせて)、足を伸ばして両足のかかとをつけた状態で、 左右の膝のすき間が3cm以上あいていたら、O脚の可能性があります。 A 一人歩きの遅れ(1歳3ヶ月を過ぎても歩かない)、歩き方がぎこちない、よく転ぶ B 頭蓋骨が軟らかくなる、大泉門の閉鎖が遅れる |
ビタミンD不足の可能性があるのはどんな時? | @
完全母乳栄養 ビタミンDは人工乳には多く含まれますが、ミルクに比べて母乳中のビタミンD少なく、母乳中のビタミンDだけでは不十分なことがあります。そのため、ビタミンD欠乏性くる病は、完全母乳栄養の子で起こりやすいのです。によく見られます A 卵アレルギーや魚アレルギーで、除去食をしている子 ビタミンDは魚(貝・甲殻類は除く)と卵、きのく類に多く含まれます。一方、大豆などの豆類、穀物、肉、野菜にはビタミンDは入っていません。卵アレルギーで卵を除去している子どもさんは、魚を食べないとビタミンDが不足します。一方、魚アレルギーの子どもさんは卵を食べないとビタミンDが不足します。 B ビタミンDは日光(紫外線)を浴びると、皮膚で合成されます。そのため、日光に当たる時間が極端に少ない子、日焼け止めを常用している子も要注意です。 |
診断は? | @
手や膝のレントゲン写真で骨端の変化がないかを診ます A 血液検査でアルカリフォスファターゼ(ALP)、カルシウム(Ca)、リン(P)、ビタミンDなどを測定します。 |
治療は? | ビタミンD製剤の内服を行います |
予防は? | @
完全母乳の場合、お母さんがビタミンDを多く含むものを食べるように心がけてください A アレルギーなどで魚や卵を除去している子どもさんは注意が必要です。 卵アレルギーの子は魚を食べるように心がけましょう。卵と魚の両方にアレルギーのある子はビタミンD不足が起きてないかどうかを定期的に検査する必要があります。 B 過度に日光に当たる必要はありませんが、適度に日に当たることは必要です。 |
慢性的に便秘が続いている子どもさんは、便がお腹に溜まって痛くなったり、排便時に肛門が切れて出血したりして、苦しい思いをしています。便秘はきちんと治療しないと、「悪循環」を繰り返してどんどんひどくなるので、早めの対応が必要です。 | |
便秘とは? | (1)便がなかなか出ない状態・・・週に1〜2回しか自力で出ない、5日以上自力で出ない (2)便を出すのが困難な状態・・・自力で便が出ない、肛門が切れて出血するをいいます。 「便秘症」とは、便秘のために治療が必要になった状態を言い、この状態が1〜2ヶ月以上続くと、「慢性便秘症」と言います。 |
便秘の 悪循環とは? |
硬くて大きい便⇒排便時に肛門が切れて痛い⇒排便をがまん⇒直腸が膨らむ⇒便意(便をしたくなること)を感じにくくなる⇒より硬く大きい便 |
注意する 症状は? |
(1)排便をがまんする仕草 肛門を締めて便をがまんしている仕草がみられたら、治療が必要です。 両足をクロスして肛門を締めて、一生懸命便を我慢する子もいます。 (2)便漏れ 直腸に大きくて硬い便が詰まり、肛門に栓をしたような状態になると、その手前の便は発酵したような状態になり、軟らかい下痢便になります。そうなると、栓された部分と肛門の隙間から下痢や軟便が1日に何度も出るようになります。少量の下痢便が1日に何回も出るということが、便秘で起こることがあるのです。この状態になっているかどうかは、肛門から指を入れて診察したり、腹部エコーで大きな便が直腸にあるかどうかを調べることでわかります。硬い便が肛門を栓している場合は、浣腸や摘便(肛門から指を入れて便を出す)が必要です。 |
治療は? | (1)生活習慣の改善 @ 早寝、早起き、朝ご飯 の実践 朝食を食べて、胃に食物が入ると、胃直腸反射が起こり、腸が動いて便を出そうとするので、朝食を食べることが大切です。園や学校へ行く前に、トイレに行く時間的余裕も必要ですので、早寝早起きを実践してください。 A 食事内容の改善 食物繊維の多い食事にしましょう。水分も十分摂りましょう。 B 朝、トイレに行く習慣をつけましょう 便が出なくてもトイレに座る習慣をつけます。便が出なくても5〜10分座れればOKです。 トイレを怖がったり、嫌がったりする子には、シールなどのご褒美が有効です。 C 園や学校で便がしたくなったら、がまんせずにトイレに行くように指導します。 (2)薬物療法 ・・2つのタイプの薬で、便秘の悪循環を断って、便秘を改善します。漢方薬を使うこともあります。 @ 便を軟らかくする下剤 マルツエキス(マルトース)、モニラック(ラクツロース)、カマグ・マグミット(酸化マグネシウム) A 排便反射を強くする薬・・・夕方飲むと、翌朝の排便反射が強くなります ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)、プルセニド(センノシド) |