平成31年/令和元年 今月の病気
Q:どんな昆虫がアレルギーの原因になるの? |
||||||||||||||||
Q:検査方法は? |
||||||||||||||||
|
秋の花粉症の主な原因はブタクサやヨモギで、道端、公園、河川敷、空き地など、どこにでも自生しているありふれた植物です。「秋に河川敷をジョギングしていたら、咳き込んだり、鼻水が出たりした」「秋になると目が痒くなる」などのエピソードがあるようでしたら、アレルギー検査をお勧めします。 | |
原因は? |
ブタクサはキク科の植物で、黄金色の花を咲かせます。花粉飛散期は8-10月(ピークは9月)です。明治以降に入ってきた外来植物です。ブタクサによる花粉症はスギ、ヒノキに次いで3番目に多く、秋の花粉症の原因としては最多です。 |
スギ花粉症との違い | ブタクサやヨモギは花粉の粒子が小さいため、気管に入って喘息のような咳症状を引き起こすことがあります。一方、スギは花粉の粒子が大きいため、鼻粘膜に留まりやすく、くしゃみ・鼻水が主症状となり、気管や肺への影響は少ないとされています。 |
口腔アレルギー症候群 | ブタクサ花粉はメロン,スイカ,キュウリなどのウリ科の食物などと交差抗原性があるため、ブタクサ花粉症の人がメロンやスイカを食べると、口の中が痒くなるといった症状(口腔アレルギー症候群)が出ることがあります。 ヨモギ花粉症はニンジンやセロリなどのセリ科の食物で口腔アレルギー症候群を起こします。 |
対策は? | 秋の花粉症の原因となる花粉は、飛散距離が短く、数十~数百メートルしか飛散しません(スギ花粉は数十キロ以上)。したがって、その植物が生えている周辺に近寄らないだけでも十分予防になります。花粉の飛散時期に、原因植物が生えている空き地や河原には、近づかないようにしましょう。 |
蜂はミスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3つに分類されます。スズメバチ、アシナガバチのアレルゲンは共通性があります。一方、ミツバチのアレルゲンはスズメバチ、アシナガバチとの共通性が低いです。 |
|
症状は? |
ほとんどは軽症で、刺された部位の発赤、腫脹、痛みがみられる程度です。 |
検査は? |
血液検査で蜂毒に対するIgE(アレルゲン)を調べることができます。・・・スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類のIgEを検査できます。 |
処置は? |
軽症では、刺された部位を冷やし、外用薬を塗るなどすれば、自然に治っていきます。 |
違いは? | 手足口病は名前が示すように、口内炎と手や足に水疱性の発疹がみられる急性ウイルス感染症です。一方、ヘルパンギーナはのどの奥の口内炎と高熱がみられる急性ウイルス感染症で、手足の発疹はみられません。来院時に、発熱と口内炎があり、ヘルパンギーナと診断されても、その後に、手や足などに発疹が出れば、手足口病と診断が変わります |
原因は? |
手足口病とヘルパンギーナは主にコクサッキーウイスルA群が原因で起こります。 |
症状は? |
ヘルパンギーナは39度前後の高熱が2日間出ることと、のどの奥に口内炎ができるのが特徴です。 |
治療は? |
特効薬がないので、対症療法になります。高熱に対しては解熱剤を使います。口内炎は多数できるため、口内炎用の軟膏やシールは使いません。痛みを避けるため、熱い硬い酸っぱい食べ物は避けましょう。飲食が難しい時は、イオン飲料、飲むヨーグルトなどの乳製品、ネクターのようなとろっとしたジュースを試してください。飲食が全くできなくなったら点滴します。発疹は1週間ほどで、かさぶたができて治ります。大きな水疱ができて、痛みを伴う場合は、軟膏や痛み止めを使います。 |
微量のダニエキスを舌下から体内に取り入れることで、体をアレルギーの原因であるダニに慣らして、ダニによるアレルギー性鼻炎の症状を和らげる治療法です。 | |
対象は? |
アレルギー検査でダニのIgE値が高い子どもさんが対象になります。ダニ以外にもアレルギーがある場合は、この治療をするのがよいかどうかを当院で判断します。 |
どのような人にお勧めですか? |
|
管支喘息に効果はありますか? |
海外では気管支喘息に対しても行われていますが、日本で行った臨床試験では、気管支喘息に対する効果が出なかったので、気管支喘息に舌下免疫療法を行うことはできません。 |
治療開始年齢は? |
5歳からこの治療を受けることができます。 |
開始時期は? | 季節に関係なく、いつでも治療を開始することができます。 |
治療方法は? |
『ミティキュアダニ舌下錠』というラムネみたいな口の中に入れると溶ける錠剤を使います。 |
服薬してはいけない時はありますか? | 気管支喘息の症状悪化時は服薬してはいけません。風邪などで体調が悪い時、口の中に傷がある場合、抜歯時にはなどは,ミティキュアの服用について医師の判断を仰いでください。 |
治療期間は? | 目安は3年間です。(最低2年以上) |
治療効果は? | 2割くらいの人に非常に効果があり、6割の人でくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状の改善がみられます。 |
副作用は? |
舌下する薬であるため、口の中の副作用(口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れ・かゆみ・不快感など)がみられます。他に、唇の腫れ、咽喉(のど)のかゆみ・刺激感・不快感、耳のかゆみ、頭痛などがみられます。 |
費用は? | 薬代(調剤料を除く)が3割負担で、月に1700円ほどかかります。 |
ダニとスギ両方の治療ができますか? | 2つの舌下免疫療法を同時に開始することはしません。 主な原因になっている方の舌下免疫療法を行います。 |
微量のスギ花粉エキスを舌下から体内に取り入れることで、体をアレルギーの原因であるスギ花粉に慣らして、スギ花粉症の症状を和らげる治療法です。今年の6月から当院でもこの治療を始めました。 | |
対象は? |
スギのIgE値が高い子どもさんが対象になります。スギ以外にもアレルギーがある場合は、この治療をするのがよいかどうかを当院で判断します。 |
治療開始年齢は? |
5歳からこの治療を受けることができます。 |
何月頃から開始すればいいですか? |
スギ花粉が飛んでいる時期は治療を新たに開始することはできません。新規に治療を開始場合は、6月から12月から始めるのが一般的です。但し、舌下免疫療法を始めて3か月位経たないと舌下免疫療法の効果は出てきません。なので、6月から8月位までに始めるのがベターです。 |
治療方法は? |
『シダキュアスギ花粉舌下錠』というラムネみたいな口の中に入れると溶ける錠剤を使います。最初の1週間は「2,000JAU」という量の少ない錠剤を1日1回1錠、2週目以降は「5,000JAU」という量の錠剤を1日1回1錠、舌下に入れて1分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがいや飲食を控えます。 |
治療期間は? | 目安は3年間です。(最低2年以上) |
治療効果は? | 8割くらいの人にくしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善、涙目、目のかゆみの改善といった効果がみられます。 |
副作用は? |
舌下する薬であるため、口の中の副作用(口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れ・かゆみ・不快感など)がみられます。他に、唇の腫れ、咽喉(のど)のかゆみ・刺激感・不快感、耳のかゆみ、頭痛などがみられます。 |
費用は? | 薬代(調剤料を除く)が3割負担で、月に1300円ほどかかります。 |
風疹に免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎児に感染して、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群という病気に罹ることがあります。 | |
原因は? |
風疹ウイルスが妊娠初期の母親に感染することで起こります。母親が風疹に感染した妊娠月別の発生頻度は、妊娠1 カ月で50%以上、2カ月で35%、3カ月で18%、4カ月で8%程度です。母親が風疹に罹ったからといって、すべての赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症するわけではありません。 |
症状は? |
先天性風疹症候群の3大症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。他に網膜症、血小板減少、発育遅滞、精神発達遅滞などがあります。難聴は、生まれてすぐの聴力が正常でも、2~3歳くらいまでに難聴になることがあるため、3歳になるまで定期的な聴力検査が必要です。 |
検査は? | 臍帯血や赤ちゃんの血液中の風疹IgM 抗体の検出が確定診断として用いられます。IgM 抗体は胎盤を通過しないので、風疹IgM抗体の存在は、赤ちゃんが風疹に罹ったために赤ちゃん自身が産生したという証拠になります。 |
治療は? | 先天性風疹症候群自体を治す方法はありませんが、白内障手術や、人工内耳手術などが行われます。先天性風疹症候群自体を治す方法はありませんが、白内障手術や、人工内耳手術などが行われます。 |
予防方法は? |
風疹ワクチンによる予防が重要です。 女性は妊娠前に2回風疹ワクチンを受ける必要があります。母子手帳でワクチン接種回数を確認し、接種が1回、または受けてない場合は抗体検査を受けるか、ワクチン接種を受けてください。 妊婦の周囲の人もワクチン接種を受けることをお勧めします。 妊娠中のワクチン接種はしてはいけないことになっていますが、ワクチン接種後に妊娠が判明しても、過去のデータによれば障害児の出生は1 例もないので、妊娠を中断する理由にはなりません。 |
妊娠中のお母さんがトキソプラズマに感染すると、赤ちゃんが脳や眼の障害(特に重要なのは網脈絡膜炎による視力障害)などを持って生まれてくることがあります。妊娠中に罹らないよう気を付けるポイントを知っておいてください。 | |
原因は? |
トキソプラズマは長径5μm(目には見えない、赤血球の半分以下の大きさ)の小さい原虫で、哺乳類と鳥類に寄生します。正常な免疫の機能を持っていれば感染してもほとんどの場合、症状はありません。日本では、妊婦の5%がすでに感染して抗体を持っています。妊婦さんが初めて感染した場合に赤ちゃんが感染して症状が出ることがあります。 |
症状は? |
妊娠初期に感染すると流産や胎児死亡の原因になります。赤ちゃんに出る症状として、水頭症、脳室拡大、脳内石灰化、視力障害(網膜脈絡膜炎)などがあります |
感染経路は? |
1)トキソプラズマは哺乳類と鳥類の肉の中にいることがあり、生肉または加熱不十分な料理を食べることで感染します。 |
診断は? | 血液中のトキソプラズマ抗体を測定します。 |
治療は? |
胎児への感染を減らし、重症度を軽減するスピラマイシンという飲み薬があります |
予防方法は? |
*咳やくしゃみ(飛沫感染)ではうつりません。 *トキソプラズマがいる動物に触れただけでは感染しません。 ※ 妊娠前にトキソプラズマにすでに罹っている場合は問題ありません。今までにトキソプラズマに罹ってない女性が妊娠した場合、下記に注意し、感染のリスクを減らしてください (注)トキソプラズマに今までに罹っていたかどうかは、抗体検査でわかります。 ①肉はよく加熱して調理しましょう ②生ハム、ローストビーフなどは食べないようにしてください。 ③果物や野菜はよく洗って食べてください ④水道水以外の生水は飲まないようにしましょう。 ⑤ガーデニングや畑仕事、猫のトイレ掃除では手袋やメガネをし、仕事の後は、石けんと水でしっかり手洗いをしましょう。 |
猫を飼っている場合は? |
猫が問題視されていますが、必要以上に猫を怖がることはありません。 |
妊娠中のお母さんがサイトメガロウイルスに感染すると、赤ちゃんが難聴、小頭症などの障がいを持って生まれてくることがあります。感染を予防する薬やワクチンはありません。妊娠中に罹らないよう気を付けるポイントがありますので、知っておいてください。 | |
原因は? |
原因となるサイトメガロウイルスはヘルペスウイルスに属するウイルスで、どこにでもいるありふれたウイルスです。主に唾液による飛沫感染で子どものうちに感染します。感染してもほとんど症状がないか、風邪症状程度ですみます。日本では、成人女性の70%がすでに感染して抗体を持っています。 |
症状は? | 赤ちゃんに出る症状として、低出生体重、肝機能異常、小頭症、難聴、運動運動発達障害、網膜症などがあります。 |
感染経路は? | 唾液、尿、母乳を介する感染、性行為による感染があります。 実際に妊娠中の母体初感染の大半を占めるのは、「上の子どもさん」の唾液や尿を介した感染です。第2子以降の子どもを妊娠中のお母さんは、上の子どもの子育ての真っ最中というケースがほとんどです。 妊娠中に上の子どものおむつ交換で尿を触ったり、食事を食べさせる時によだれ(唾液)に触れる機会が多くあるので、初産婦よりも経産婦のほうが感染の危険性が高まります。保母さんなど小さなお子さんとの接触機会が多い職業の人も気をつける必要があります。 |
診断は? | 生後3週間以内の尿中にサイトメガロウイルスがいるかどうか検査します。 |
治療は? | 抗ウイルス薬などで治療します。 |
予防が最も重要です! |
インフルエンザのように咳やくしゃみ(飛沫感染)ではうつりません。感染している人の唾液や尿に触れた手から感染します。周りの人との接触を避ける必要はなく、手洗いをきちんと行うことが重要です。 |
原因は? |
バルトネラ・ヘンセレという細菌によって起こる感染症です。バルトネラ・ヘンセレはネコノミを介して猫から猫に感染します。感染した猫は1年以上この細菌を持っていますが、猫には病原性がないため全く症状はありません。そのため、飼い主が気づくことはありません。この細菌に感染した猫に引っかかれたり、噛まれたり、傷をなめられたりすることで人にうつります。 |
症状は? |
菌が侵入して3~10日後に、侵入した部位に発疹ができることがあります |
検査は? | 抗体検査で検査可能ですが、健康保険が効かないため、勧めていません。 |
治療は? | 軽症では無治療で治ります。クラリスロマシン、アジスロマイシン、ミノマイシンといった抗生剤が有効です。 |
猫の感染状況は? |
約7%の猫がこの細菌を持っているという報告があります。ネコノミを介して猫の間で流行するため、猫同士の接触が多いほど細菌保有率が高くなります。そのため、メス猫より雄ネコ、飼い猫より野良猫、の方が保菌率が高い傾向があります。 |