平成30年 今月の病気
1)今年から新しく使えるインフルエンザの薬が増えました。 「ゾフルーザ」という薬で、今までの薬とは違った作用機序で効く薬です。効果は今までの薬に比べて同じか、やや早く熱が下がると言われています。最大の特徴は1回飲むだけでよいということです。(空腹時でも食後でもどちらでもよく、いつ飲んでもかまいません) 今シーズンは錠剤だけで、コナ薬は供給されないので、錠剤が飲めない子どもさんは使うことはできません。 投与量 (但し、体重80kg以上の人は4錠服用) 12歳未満 体重40kg以上 20mg錠を2錠服用 体重20〜40kg 20mg錠を1錠服用 体重10〜20kg 10mg錠を1錠服用 |
2)タミフルを10代に使ってもよくなりました。 今まで「タミフル」は原則的に10代には使わないということになっていましたが、今シーズンからそれがなくなりました。タミフルと異常行動の間に明確な因果関係がみつからなかったのがその理由ですが、インフルエンザに罹っている時は、タミフルなどのインフルエンザ治療薬を飲んでいても飲んでいなくても、異常行動が出ることがあるので、注意が必要です。 |
3)タミフルにジェネリックが出ました。 「タミフル」に「オセルタミビル」というジェネリックが出ました。薬価が少し安くなりますが、今シーズンの供給はあまり多くないそうです。 健康保険がきかない予防内服で1カプセルを10日間自費で服用する場合、1000円安く(当院では診察料込で6000円が5000円に)なります。 |
(1)浸透圧性下剤 |
(2)刺激性下剤 |
(3)新しいタイプの便秘薬(腸の粘膜上皮に作用する薬) |
先日、C型肝炎の人と接触したので、検査をして欲しいと言って来院された方がいました。血液を介して感染する病気なので、握手、食器の共用や入浴での感染はありません。血液に直接触れることがなければ、家庭や集団生活での感染のおそれはほとんどありませんので、過度の心配は無用です。 | |
原因は? | C型肝炎ウイルス(HCV)で起こります。HCVに感染している人の血液に汚染された注射器や針を使った輸血、ピアスの穴あけ、入れ墨などの皮膚を傷つける行為を行うことで感染します。 母子感染や性行為での感染率は低いです。 |
症状は? | 2〜14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を起こしますが、ほとんどが自覚症状のない、「不顕性感染」です。3割の人はウイルスが自然に排除されますが、7割の人は慢性化し、「慢性肝炎」になり、その中の3〜4割が約20年の経過で「肝硬変」に進行します。 |
検査は? | 血液検査で、C型肝炎の抗体を測定することで感染しているかどうかわかります。 一般に感染後3ヶ月くらいで抗体は陽性になります。 |
治療は? | 小児でも、成人と同じようにインターフェロンを用いた治療を行います。 |
風疹は国内で小規模な感染(地域感染や職場内感染)があり、成人を中心に毎年100〜300人の発生があります。平成25年には全国流行があり14344人が発病し、それに関連した先天性風疹症候群の報告が45人ありました。今年は首都圏で流行していますが、地方に広がりつつあります。今月、松山でも報告がありました。全国流行になりそうで、先天性風疹症候群の増加が心配されています。 | |
風疹とは | 風疹は風疹ウイルスが原因で起こる感染症です。2〜3週間の潜伏期間後、発熱、淡紅色の発疹、リンパ節腫脹、眼球結膜の充血などの症状がみられます。通常、数日で自然治癒します。 |
先天性風疹症候群 とは |
妊娠初期(20週頃まで)の妊婦が風疹ウイルスに感染すると、胎児も風疹ウイルスに感染して「先天性風疹症候群」を発症する可能性があります。 生まれてきた赤ちゃんに、難聴、先天性心疾患、白内障、精神運動発達遅滞といった先天異常がみられます。根本的な治療はないため、妊婦の感染予防が重要です。 |
先天性風疹症候群を 予防するには | 1)母親に対する予防 妊娠すると、産科で風疹の抗体検査が行われます。抗体が陽性なら心配ありませんが、抗体が陰性の場合は、出産後は早期にワクチンを接種してください。 妊娠の可能性がある女性で、今までに風疹ワクチンを2回接種してない人は、抗体検査をしてください。抗体が低い場合はワクチンを接種してください。 2)妊婦の周りにいる人(家族、職場の同僚など) 妊婦の周りの人が風疹に罹らないようにすることも予防に重要です。妊婦の周りの人にも風疹ワクチンの接種が推奨されます。風疹ワクチンの接種状況を見ると39歳以上の男性と56歳以上の女性がワクチン未接種ですので、ワクチンを接種してください。28〜38歳の男性と28〜55歳の女性はワクチン接種が1回ですので、追加接種を1回行うことをお勧めします。 |
2年前から小中学校の学校健診に成長曲線が導入され、当院でホルモン検査を受ける人が増えました。身長の伸びが悪い場合には成長ホルモン分泌刺激試験を、思春期早発症が疑われるケースには性腺刺激ホルモン刺激試験が行われます。 |
1)成長ホルモン分泌負荷試験 成長ホルモンは脳下垂体から出るホルモンで、体を大きくする働きがあります。成長ホルモンは律動的分泌といって、血液中の濃度が高くなったり低くなったりするので、1回だけの採血では十分出ているかどうか判定することできません。そのため、成長ホルモンの分泌を促す薬を体内に入れて、その反応をみる検査をします。 (参考)甲状腺ホルモンは血液中の濃度が安定しているので、一回の採血で検査ができます。 検査のための準備(重要) 検査の前日:夕食を食べた後は、何も食べずに寝てください。但し、どうしてもお腹が空いて眠れない場合は、少量なら可 検査当日(来院前):朝食を食べずに来院してください!のどが渇いていたら、お水は飲んでかまいません 検査前に糖分や特定のアミノ酸が入ってしまうとダメなので、ジュースはダメです。お茶も避けてお水にしてください。 検査について:採血は全部で5回しますが、点滴を入れて行うので痛いのは1回だけです。 薬を入れる前、入れた後30分、60分、90分、120分に点滴のところから採血します。検査は2時間かかります。 5回検査した中で、最も高い値(頂値といいます)が6ng/mlを超えていると分泌正常と判定されます。 |
2)性腺刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験(LHRHテスト) 性腺刺激ホルモンも脳下垂体から出るホルモンです。二次性徴が始まると活発に分泌され、男子では精巣に働いて男性ホルモンの、女子では卵巣に働いて女性ホルモンの分泌を促します。性腺刺激ホルモンも律動的分泌をするので分泌刺激試験をします。 検査のための準備 食事の影響を受けないため、検査の前日と当日の食事制限はありません。朝食を食べて来てかまいません。 検査について:成長ホルモン分泌刺激検査と同じ要領で行います。検査は2時間かかります。 明確な判定基準はありませんが、全体的に値が高くなっていると、二次性徴開始と判定されます。 |
高温の環境下で体内の水分やミネラルのバランスがくずれることで起こる健康障害です。猛暑の今年は特に注意が必要です。子どもは大人に比べて、体重あたりの水分量が多く、体温調節機能が未熟なため、熱中症にかかりやすいです。特に、自分から症状をうまく訴えることができない年少児は注意が必要です。 | |||||||||||||||||||||||||
疑われる場合 の対応 |
高温の環境下で、めまい、ふらつき、筋肉痛、こむら返り、倦怠感、吐き気など、熱中症が疑われる症状があった場合 |
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症状と重症度 |
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予防方法 | @高温の環境をさける 気温35度以上は「原則運動禁止」、 31〜35度は「厳重注意」・・激しい運動は避ける 28〜31度は「警戒」・・積極的に休息をとる 24〜28度は「注意」・・積極的に水分補給 24度以下は「ほぼ安全」・・適宜水分補給を行う ※湿度が高い時は、1ランク厳しくします A服装の工夫 麻や綿など通気性の良い生地の衣服や、速乾性素材の下着を選ぶとよい 帽子や日傘で、直射日光を避ける 冷却シートやスカーフなど冷却グッズを利用する B水分摂取 C体調を整える ・・・・ 睡眠不足、欠食、風邪などの体調不良時は無理しない |
ピロリ菌とは | 正式にはヘリコバクター・ピロリ菌といい、胃にすみつく細菌です。胃炎を起こし、胃十二指腸潰瘍、胃がんの原因になります。 |
頻度 | 衛生環境の悪い時代に小児期を過ごした高齢者の頻度は70〜80%と非常に高率ですが、衛生環境により感染率は低下し、最近の小児の感染率は5%以下になっています。 |
症状 | ピロリ菌に感染しても多くの小児は無症状です。小児でよくみられる反復性腹痛とピロリ菌との関連性はないと言われています。 小児の十二指腸潰瘍の約80%、胃潰瘍の約40%でピロリ菌感染が証明されており、10歳以上の年長児では消化性潰瘍とピロリ菌の関連性が認められています。 思春期鉄欠乏性貧血、特発性血小板減少性紫斑病がピロリ菌によって起こることが知られています。思春期の鉄欠乏性貧血で、原因がよくわからない場合や鉄剤を飲んでもなかなか治らない場合に、ピロリ菌感染を疑います。 |
除菌治療 | 小児でも成人と同じ抗生剤を含む3剤併用療法が行われますが、小児全員に除菌治療をする訳ではありませんので、治療をするかどうかは医師の指示に従ってください。 |
松山市の 検査方法 |
[一次検査] ・・・・ 無料 |
侵襲性髄膜炎菌感染症は髄膜炎菌という細菌で起こる感染症です。日本国内での年間患者数は10〜40名ほどで稀な病気ですが、死亡率が高く怖い病気です。 | |
髄膜炎菌とは | 髄膜炎菌は健康者の0.4%(250人に1人)ののどや鼻に存在しています。人から人へ、咳やくしゃみによって伝染します。体調の悪い時や、免疫が低下した状態では、菌が血液や髄液に侵入して重症な感染症である、侵襲性髄膜炎菌感染症を引き起こします。 |
症状 | 初めは発熱、頭痛、吐き気など風邪と同じ症状ですが、発症後半日(12時間)を過ぎる頃から、出血斑、皮下出血、呼吸困難、光を異常にまぶしく感じるなど、普通の風邪とは違う症状が出てきます。そのまま放っておくと意識障害、けいれん、ショックなどを起こして死亡します。治療しなかった場合の死亡率は50%、治療しても5〜10%が死に至る怖い病気です。 |
どんな人が感染しやすいの? |
0?4歳の乳幼児と10代後半の思春期に多いことがわかっています。髄膜炎菌は、人と人が近距離で長時間集まる場所で感染が広がりやすいので、学生寮や合宿など狭い空間での共同生活で感染リスクが高まります。また、髄膜炎菌は、唾液を介して感染するため、ペットボトルの回し飲みなども感染リスクを高めます。そのため、10代後半の思春期に多くみられるのです。 |
予防方法 | 「ナメクトラ」というワクチンを肩の筋肉に1回注射することで感染を予防することができます。 接種対象年齢は2歳以上55歳以下です。 公費助成はなく、自費接種になります。高額なワクチンで当院では税込25000円です。 |
ワクチン接種を推奨される人は? | @ 髄膜炎菌感染流行地へ渡航する人世界的に見ると、髄膜炎菌はアフリカ中部で流行しています。欧米でも年間に1000名以上の報告があります。そのため、欧米の小児は髄膜炎菌ワクチンが定期接種となっています。北米の高校・大学にはワクチン接種が義務づけられているところがあるので確認が必要です。 A 免疫抑制状態にある人・・・脾臓摘出後、補体欠損症など特殊な病気が対象になります。 B 学校の寮などで集団生活を送る人 国内の学生寮で集団発生がみられたことから、ワクチン接種が推奨されています |
物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態が斜視です。片目が正常な位置にあるときに、もう片目が内側に向いてしまっている状態を内斜視、外側に向いてしまっている状態を外斜視、上側に向いてしまっている状態を上斜視、下側に向いてしまっている状態を下斜視といいます。常に斜視が存在する場合(恒常性斜視)と、時々斜視の状態になる場合(間歇性斜視)とがあります。また、生まれた直後から斜視が明らかに存在する場合と、成長してから目立ってくる場合とがあります。大人でも眠かったり酔っていたりすると目の位置がずれることがありますね。お子さんも寝起きなどにちょっとずれる程度は問題ありません。 斜視の原因としては、目を動かす筋肉や神経の異常によるもの・遠視によるもの・目の病気によるもの・脳の病気によるもの・全身の病気に伴うものなどがあります。ほとんどは目を動かす筋肉や神経の異常によるものや遠視によるものです。斜視の原因を探るために、全身検査を行ったりMRIなどの検査を行ったりすることもあります。 「スポットビジョンスクリーナー」という機器を使って、検査を行います。 |
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偽斜視 | 赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いために、あたかも内斜視のようにみえることがあります。見かけ上のものであり、本当に斜視があるわけではないのでこれを偽斜視といいます。成長に伴い顔立ちがはっきりしてくると目立たなくなります。 |
3歳位までの子どもに多い誤飲事故ですが、社会の変化により新たな問題が出てきました。 |
「ボタン電池」より危険な『コイン電池』 以前から電子ゲームなどに使われる「ボタン電池」の誤飲が問題になっていましたが、最近よく使われるようになった『コイン電池の方が誤飲した時の危険性が高いため問題視されています。 ボタン電池は誤飲して胃に入ると、胃液の胃酸で腐食が起こり、お腹の中に長時間(1日)留まっていると、消化管の中で電池の内容物が流れ出て消化管の壁を傷つけるおそれがあります。 最近よく使われるようになったコイン電池は放電能力が高いため、誤飲すると消化管の中で放電し、 30分から1時間という非常に短い時間で消化管の壁に潰瘍ができることが問題になっています。また、コイン電池は薄いのですが径2cmと大きい(ボタン電池は径1.16cm)ため、食道でひっかかりやすく、放電により食道に潰瘍を作り、ひどいと食道に穴があいてしまいます。 治療は、ボタン電池、コイン電池ともに透視や内視鏡で電池を取り出すことになりますが、コイン電池は急いで取り出す必要があります。ボタン電池やコイン電池を飲み込んでしまった場合は急いで医療機関を受診してください。飲んだかどうかわからなくても、飲んだ可能性がある場合は急いで受診してください。レントゲンを撮ればわかります。 |
加熱式タバコと無煙タバコ 加熱式タバコは、細かく刻んだタバコ葉をつめたスティックを、専用の充電式機器にセットして加熱し、発生させたミスト(蒸気)を吸引するタイプのタバコです。火を使わないため、煙や臭いが出ないのが特徴で、加熱式タバコのメーカーは「副流煙が出ないために周囲への影響が少ない」ことを強調していますが、ミストにはニコチンなどの有害物質が含まれており、吸う人はもちろん、周りの人も受動喫煙による健康被害が起こります。 加熱式タバコは、使用するスティックが2.5cm と短いため、乳幼児が1本を丸飲みした事例が多く報告されています。スティックを誤飲した場合は、胃洗浄などの処置が必要です。 加熱式タバコは、メーカーの宣伝文句につられ、子どもが居る家庭など、副流煙を気にする人達を中心に使用者が広がっています。今後、誤飲例が増えることが予想されています。 無煙タバコは、小さなティーバッグ様の袋の中に、粉砕したタバコの葉と添加物を入れ、それを口の中(歯肉と頬粘膜の間)に入れるタイプのタバコです。この無煙タバコは、口の中に入れることで、血中ニコチン濃度が上昇し、ニコチン依存症も起こります。小さなティーバッグ状のため、乳幼児でも口に入れやすく、誤飲の危険性が大きいと考えられます。万が一飲み込んでしまった場合、ニコチンが溶け出て、中毒症状を起こす危険性があります。 菓子箱のような箱に入っているのも問題で、子どもがお菓子と間違える可能性があります。 |
ペットの糞 室内で犬や猫を飼う人が増えたためか、『犬のうんちを子どもが食べた!』という電話相談が昨年3件ありました。 犬が下痢をしているなどなければ、問題になるような細菌はいないようです。 犬の寄生虫(回虫)については、犬が便をして10日ほどたった便でないと感染しない(便中に虫卵があっても、排便してすぐの便から感染することはない)ようなので、心配はないようです。 ということで、口の中をきれいにしてあげたら、後は経過観察でよいと思います。 ※獣医さんに相談して、飼い犬の駆虫をしてあげましょう。 |