今月の病気(平成19年)

脱水症

 通常、嘔吐下痢症の嘔吐は1日で治まることが多いのですが、嘔吐が長引いて水分が取れないと脱水症になってしまいます。子どもは大人に比べて体内の水分の割合が多く、1日で入れ替わる水分量が多いため脱水になりやすいのです。
脱水症とは? 体から水分が失われたり、水分が摂れなかったりして、体の水分が不足した状態をいいます。
原因は? 嘔吐(水分摂取不足)、下痢、発熱、発刊(水分喪失)が原因となります。
小児では嘔吐下痢症や食中毒の時に脱水が起こりやすいのですが、高熱で飲んだり食べたりできない時や、夏の暑い時に水分補給を怠った時にも脱水が起こります。
症状は? 元気がなくなり、唇や皮膚が乾き、目が落ち窪んできます。
重症になると 痙攣を起こしたり、ショック状態に陥ったりします。
治療は? 水分を飲めそうな場合は水分を少量ずつ与えてください。脱水の時は水分だけでなくミネラルも失われますので、お茶やお水よりもイオン飲料やスポーツドリンクの方が良いです。
水分を受け付けない場合や脱水がひどい場合は点滴が必要です。

予防接種を受ける順番

1歳までに済ませるワクチン BCG 通常、1番始めに行なうワクチンはBCGです。BCGは生後6ヶ月までに済ませることになっています。3ヶ月健診と一緒に受けるとよいでしょう。BCGワクチンを接種して4週間すると他のワクチンを受けることができます。
3種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風) 次に受けるのが、3種混合です。3種混合ワクチンのT期接種は3〜8週間の間隔で3回受ける必要があります。3種混合を接種して1週間あけると他のワクチンを受けることができます。
ポリオ ポリオを行なっている時(5〜6月と9〜10月)はポリオを優先します。BCGや3種混合より先に受けてもかまいません。ポリオを接種して4週間あけると他のワクチンを受けることができます。ポリオは2回接種しますが、2回目は7歳半までにすませばOKです。
1歳を過ぎて行なうワクチン MR(はしかと風疹) 1歳を過ぎたらなるべく早くMRワクチンを受けてください。MRワクチンは2歳の誕生日の前日までに済まさないといけません。MRワクチンを接種して4週間すると他のワクチンを受けることができます。
3種混合のT期の追加 3種混合のT期の追加接種は T期接種の3回目が終わって約1年後に受けるものです。忘れやすいので、当院で3混T期接種を受けていただいた方には 葉書でご連絡しています。
おたふくかぜ 自費ですが接種可能です。
みずぼうそう
小学校入学前に行なうワクチン MRの2回目 小学校入学する1年前に(園の年長児)MRワクチンの2回目を受けてください。
小学校入学後に行なうワクチン 2種混合(ジフテリア、破傷風) 11歳〜12歳(13歳の誕生日の前日まで)に2種混合を行ないます。
インフルエンザワクチン インフルエンザワクチンは10月中旬から1月までの間に行ないます。生後6ヶ月を過ぎれば受けることができますが、13歳未満の小児は1〜4週間の間隔で2回接種する必要があります。インフルエンザワクチンを接種して1週間あけると他のワクチンを受けることができます。



生後6ヶ月以降の子供の便秘

 生後6ヶ月を過ぎて離乳食が始まり、いろいろなものを食べるようになると、だんだんに大人の便に近づいてきます。少し硬めくらいならいいのですが、中には大人顔負けの硬くて大きなうんちをして、肛門が切れて出血する子もいます。生後6ヶ月以降の子供の便秘は、『便が硬くて出ないタイプ』の便秘が多くを占めるようになります。
 便秘の対処には『生活習慣と食事の改善』がたいせつです。これで効果がないい場合、下剤を使います。『下剤は習慣になる』と言われますが、上手に使えば1年くらい服用しても、通常問題ありません。
生活習慣 朝食抜きはだめ(遅いのもダメ)  朝起きるのが遅くて朝食を抜くと、便意を起こす自律神経の働きが低下して、便秘になることがあります。夜更かしは止め、朝食をきちんと食べましょう。朝寝坊して朝食が遅いのもよくありません。トイレにいける子では、朝食後に便意がなくても必ずトイレに行く習慣をつけましょう。
トイレを我慢する習慣はダメ  便を我慢する習慣がつくと、排便を起こす反射が弱くなり、便秘になることがあります。トイレを怖くて我慢する子には、トイレに恐怖心を持たせないように工夫してください。遊びに夢中で便を我慢するのもよくないので、便意がありそうな気配を見せたら、トイレに行かせてください。また、便が大きくて硬いと、排便で肛門が切れて痛いので便を我慢するようになります。このような場合は便を我慢することで便がさらに硬くなり、悪循環に陥るので、下剤を使うことをお勧めします。
食事  食物繊維の不足が便秘の原因になることが多いので、野菜を多く採ることを心がけましょう。生野菜よりも おひたしや煮物の方が食物繊維は多く採れます。果物、ヨーグルト、梅干などの便秘解消効果があるといわれている食べ物を朝食でとってみるのもよいでしょう。また、水分不足が便秘の原因になっていることがあるので、水分も十分とってください。
 生後6ヶ月を過ぎた子供の便秘に対しては、その子の食事の状況や発達レベルに応じて対処法を決める必要があります。便秘でお悩みの方は 遠慮なく ご相談ください。

生後6ヶ月までの赤ちゃんの便秘

 生後すぐの赤ちゃんは1日に何回も便をしますが、1ヶ月を過ぎると便の回数が減ってきます。便の回数は個人差が大きく、頻繁にウンチをする赤ちゃんもいれば、2〜3日に1回の赤ちゃんもいます。回数が少なくても赤ちゃんがつらそうにしてなければ心配ありません。母乳、ミルクの飲みもよく、元気にしていて、体重も順調に増えているようなら、病気ではありません。便が出なくて辛そうにしている場合や便が硬くて肛門が切れてしまう場合は便秘として対応が必要です。
 生後間もない赤ちゃんは、便が柔らかいにもかかわらず、便秘になることがあります。これは、赤ちゃんが便をするのが下手だからです。ウンチをするという行為は結構ムズカシイものなのです。ウンチを出すためにはお腹に力を入れながら、肛門は力を緩めておかないといけません。でも、赤ちゃんはウンチをしようと力むのですが、肛門にも力を入れてしまい、肛門をしめてしまいます。したがって、なかなかでないのです。また、赤ちゃんは お腹周りの筋肉がまだ発達していないため、力不足でもあります。お腹に力を入れながら肛門をゆるめることができるようになるには、生後半年を過ぎる頃からです。
便秘の対処法 便が柔らかいのに出ない場合 まず、『綿棒浣腸』をおこないます。綿棒にオリーブオイルをつけて、赤ちゃんの足を持ち上げ肛門の周りを刺激してから綿棒を肛門の中に入れます。綿の部分が見えなくなるまで入れ、棒を上下に動かして、肛門を広げてみてください。ウンチの先頭が出ると、芋ずる式に便が出てきます。
 綿棒浣腸で出ない場合は、便秘用の座薬やグリセリン浣腸を使って便を出しますので、来院ください。座薬や浣腸は癖になるからよくないと言われる人がいますが、そんなことはありません。
便が硬くて出ない場合 まれに便が硬くて出ないことがあります。このような場合は便を発酵させて柔らかくする薬を使います。果汁も同じ効果が期待できます。
こんな時は要注意ですので受診してください @体重の増えが悪い(母乳やミルクの量が少ないための便秘)
Aお腹が張って、嘔吐がみられる。(腸の動きが悪いことによる便秘)


こどもの『おちんちん』

おちんちんは、どうなってるの?  男の子の場合、生まれてから学童期までは『亀頭』に『包皮』が かぶさっています。15歳ごろから亀頭が大きくなって常に包皮から出た状態になりますが、4人に1人は亀頭に包皮がかぶさったままです。
包茎って?  『包皮口』が狭くて亀頭が露出できないものをいいます。包茎では おしっこをする時、『包皮』がふくらんだり、おしっこが変な方向に飛んで便器を汚したりします。普段は皮をかぶっていても包皮を引っ張ると容易に亀頭が出る場合は心配ありません。
『包茎』は 治療する必要がありますか?  赤ちゃんのほとんどは包茎ですが、年齢とともに自然によくなってきます。包茎の割合は、生後6ヵ月で80%、1歳で20%、3歳で10%といわれています。
当院では生後1歳以上で『包皮口』がかなり狭い子を対象に『包皮口』を広げる治療をおこなっています。@ステロイド軟膏を包皮に1ヶ月ほど塗って柔らかくする。A包皮を広げる.B家庭で包皮をむく練習をする。*子供の包茎のほとんどは、手術することなく治ります。
『包茎』で注意することはありますか?  嵌頓(かんとん)包茎に気をつけてください。*家庭で包皮をむく練習をしている時は、必ず包皮を元にもどしてください。包皮をむいて亀頭部を露出したままにしておくと、包皮がむくんで戻らなくなる場合があります。これを『嵌頓(かんとん)包茎』といいます。嵌頓(かんとん)包茎は急いで包皮を戻す必要があります。まず、包皮を思いっきり引っ張ってみてください。これでだめなら、亀頭をつまんで小さくしてから包皮を引っ張ってみてください。あせらず、何回か試してみましょう。どうしても戻らない場合は受診ください
包皮と亀頭の間に黄色いものがあるのですが?  恥垢(ちこう)と言って、亀頭と包皮の垢です。包皮と亀頭がくっついている場合、包皮の下に黄白色のチーズ状のかたまりとしてみられます。この恥垢は体に害はなく、包皮と亀頭をはがすという仕事をしています。
包皮が赤く腫れてしまいました  亀頭と包皮の間に細菌が入って炎症を起こしたもので、『亀頭包皮炎』と言います。抗生物質入りの軟膏を塗るだけで治ります。お風呂に入った時に おちんちんをきれいに洗うなどして清潔に保っておけば予防できます。
おちんちんが小さいのではないかと心配しています。 皮下脂肪に埋もれて、見かけ上小さくみえることが多いです。おちんちんの上にある骨(恥骨)からおちんちんの先までの長さが赤ちゃんで2cm以上、学童で3センチ以上あれば問題ありません。思春期になれば大きくなります。



小児のメタボリック症候群

今年4月に小児のメタボリック症候群の暫定的診断基準が厚生省から発表されました。
 メタボリック症候群は動脈硬化を招きやすく、診断基準としては内臓脂肪の蓄積を表すウエストサイズ(腹囲)が最も重視されます。腹囲が82.5cm以上の小児で、いろいろな検査値の異常が多くみられることが判明したため、
腹囲80cm以上が『赤信号』と決められました。
予備軍 腹囲を身長で割った値が0.5以上は、黄信号
肥満小児のうち、メタボリック症候群は5〜20%、予備軍70〜80%
一般小児ぼうち、メタボリック症候群は0.5〜3%、予備軍7〜8%
 メタボリック症候群、予備軍と判定される小児は、将来、心筋梗塞などの動脈硬化や2型(成人型)糖尿病などを発症する可能性が高くなります。当院では栄養指導を含めた生活指導を行なっておりますので、遠慮なくご相談ください。
 ちなみに大人のメタボリック症候群では、へそまわり大人男子85cm以上、大人女子90cm以上です。

百日咳

今年の春、香川大学の大学生間で 百日咳の集団発生がありました。子どもの時に3種(ジフテリア、百日咳、破傷風)混合ワクチンを受けていて抗体ができていても、大人になって抗体が低下すると感染してしまいます。また、百日咳は自然感染しても終生免疫が得られないので、一度罹った人でも、またかかることがあります。成人では しつこい咳が続く程度ですが、赤ちゃんがかかると、死亡することもある怖い病気です。
原因 百日菌という細菌が原因で起こる病気です。潜伏期は7日(6〜20日)で咳による飛沫で感染します。赤ちゃんは母親から百日咳の免疫をもらうことはできないので、生まれてすぐからかかってしまいます。咳き込んでいる人は、赤ちゃんに近づいてはいけません。
症状 しつこい咳が長く(百日程)続くのが特徴です。夜に咳が激しく出ます。熱はまず出ません。2週間ほどで徐々に激しい咳に変わってきます。顔を真っ赤にして、激しく咳き込むようになります。コンコンと咳き込んだ後に、ヒューと大きく息を吸う発作がみられます。赤ちゃんでは、咳込むため息ができなくなり、顔色が悪く(紫色)なることがあります。また、肺炎や脳症を起こすことがあります。このような場合はすぐに入院して治療する必要があります。激しい咳は次第に軽くなっていき、2〜3ヶ月で咳は治まります。
治療 百日咳に効くクラリスやジスロマックなどのマクロライド系抗生物質を使います。但し、早めに飲まないと効き目がありません。百日咳菌は毒素を産出します。抗生剤で菌を殺しても、毒素が残っている間は咳が出続けるのです。咳の程度に合わせて咳止めを使います。
予防 3種混合予防接種で予防が可能です。生後3ヶ月から受けられますので、早めに受けましょう。
学校 出席停止扱いになる病気です。特有の咳が消失するまで休まないといけません。


臍(へそ)ヘルニア

いわゆる『出べそ』のことで、生後一ヶ月ごろから赤ちゃんのおへそが飛び出してくることで気づきます。10人に1人位の割合でみられ、ひどくなる場合は直径3cm以上にもなることがあります。
原因 生まれて間もない時期は、へそまわりの腹筋が弱く、完全に閉じることができないために、泣いたりしてお腹に圧力が加わると、筋肉の隙間から腸が飛び出してきて、『出べそ』の状態となります。
自然経過 生後3ヶ月ころまでは大きくなりますが、腹筋の発達とともに小さくなっていき、ほとんどの場合1歳頃までに自然に治ります。2歳を超えても治らない場合は手術が必要になります。
治療 小さい臍ヘルニアは何もしないでそのまま様子をみておくのが最もよい治療と言えますが、ヘルニアが大きい場合、皮膚が伸びきってしまい、ヘルニアが治った後に臍の皮膚がたるんで不恰好になることがあります。そうなった場合は美容上余った皮膚を切り取る手術が必要になりますが、そうならないように絆創膏を用いてヘルニアを抑える方法があります。(昔から絆創膏で10円玉を貼ったりする民間療法がありましたが、皮膚がかぶれて大変でした。)
*当院では、かぶれにくい絆創膏を使って、臍の皮膚がたるむのを防ぐ治療を行なっていますので、ご相談ください。治療は早く開始(遅くとも生後3〜4ヶ月には始めたい)した方がよいので、お早めにご相談ください。
○臍を綿球またはスポンジで圧迫し、皮膚のかぶれを起こしにくい透明なテープで臍を覆います。
○2週間に一回位のペースでテープを貼り替えます。
かんとんヘルニア ふくらみを手で押さえても、腸がお腹に戻らなくなった状態をいいます。この状態が長く続くと、腸が血行障害を起こしてだめになるので、『かんとん』を起こした場合は急いで医療機関を受診してください。『かんとん』を起こすと、強い痛みのため、赤ちゃんは火がついたように泣きます。また、へそが赤黒く変色します。臍ヘルニアでは『かんとん』を起こすことは まれです。

虫垂炎

盲腸の端にある虫垂が炎症を起こす病気で、ひどくなると腹膜炎を起こし、死に至ることもあります。学童期の子どもに多くみられる病気ですが、3歳以下の子どもにもみられます。言葉で お腹の痛みを訴えることができない子どもでは、診断が難しいため注意が必要です。
症状 腹痛が主症状ですが、痛む場所が重要です。典型的な虫垂炎では右下腹部(虫垂のあるあたり)を痛がります。右下腹部が痛くなる前に、おへその上(胃のあたり)やおへそ周りを痛がることもあります。
*歩くと お腹に響いて、痛みが強くなるため、お腹を抱えて前かがみで歩くようになります。
*ジャンプをすると痛みが強くなります。
治療 治療は手術が原則で、化膿した虫垂を取り除きます。当院では、虫垂炎の可能性があると判断して場合は、県病院や日赤病院に紹介しています。
診断 お腹の診察(@右下腹部を押さえると痛みが増して力が入ります。A押さえた手を離すときにも強い痛みが生じます。)
血液検査(白血球が増加します。炎症反応(CRP)も高値になります。)
超音波検査(虫垂の腫れや膿、糞石などがみられます。)

小児の喫煙(たばこ)について

 子ども(未成年)の喫煙率が年々上昇しています。タバコを吸った経験がある中学1年生は約20%で毎日タバコを吸っている高校生男子は10〜25%女子は3〜8%にも達しています。
 未成年の喫煙は健康に害があるため、法律で禁止されています。

@タバコを吸い始める年齢が低いほど心筋梗塞や癌で若死にします。
A知能にも悪影響を及ぼし、学力が低下します。
B子どもは吸い始めから短期間(中学生では2〜3週間)でニコチン依存状態になってしまいます。
平成19年4月から、中高生対象に卒煙外来始めます。

 対象:卒煙を希望する、中学生、高校生
 曜日・時間:当院の一般診療が終わってから行ないますので、必ず電話予約ください。初回の相談は約30分かかります。月・金の18:00〜の予定ですが相談に応じます。
料金:小児の禁煙治療は保険がきかないため、自費診療です。初診の場合2000円+ニコチンパッチ代金(約400円×7日分)=4800円。うまくいくと1回で卒煙できますが再診料1000円+ニコチンパッチ代が必要となります。

 ほとんどの中・高校生は1〜2週間で卒煙(禁煙)できます。

タバコの煙は子どもへの虐待です。

 5本分の受動喫煙(まわりの煙を吸う)で1本タバコを吸ったのと同じ害があります。

インフルエンザ迅速診断検査

2001年の秋から約15分でインフルエンザウイルスにかかっているかどうかを調べることができる迅速診断キットが登場しました。おかげでインフルエンザの診断が格段に進歩しましたが、いくつかの問題点も生じています。

検出率は80〜90%です
インフルエンザウイルスは のどの奥の方で増えるのですが、発病後2〜3日でピークに達し、その後急速に減少し、5〜7日でウイルスはいなくなります。インフルエンザウイルスが ある程度いないと、迅速診断検査は陽性になりません。熱が出てすぐや、治りかけの時期はウイルスの量が少ないため、検査しても陰性になることがあります。
発熱から検査までの時間 12時間未満 12〜24時間 24〜48時間
陽性率 約50% 約65% 約90%
検査のやり方によって陽性率に差がでます
*鼻水のほうが のどの分泌物よりも 陽性率が高い(差は5%)
*鼻水や のどの分泌物を採る時の採り方が重要です。
 (当院では@まず鼻をかんで、鼻水をだしてもらい、それを採ります。A鼻をかんでも出ない場合は、綿棒を鼻の奥に突っ込んで、鼻水を採ります。B鼻水が採れそうにない場合は 綿棒をのどの奥に突っ込んで、分泌物を採ります。
*大人はインフルエンザウイルスに対する免疫があるため、子どもよりものどのインフルエンザウイルス量が少なく、そのため大人の陽性率は 子どもよりも低くなることが知られています。


RSウイルス感染症

 RSウイルスが原因で起こる呼吸器感染症です。冬(11〜2月)に流行し1歳以下の乳幼児に感染すると肺炎や細気管支炎を引き起こし重症化することが多いので、要注意です。また、『喘息発作』の引き金になるとも言われています。
 妊娠中に お母さんからもらった免疫ではRSウイルスの感染を防ぐことができません。したがって、6ヶ月以下の乳幼児にも容易に感染します。
 1歳までに50〜70%以上のこどもがかかり、3歳までに100%の子どもが1回はかかるといわれています。
 感染力が強く、しかも『免疫』ができにくいため、何度も感染します。しかし、かかる回数が増えるほど症状は軽くなり、2歳以上では軽い風邪程度で済むことが多くなります。
症状 伝染力が強く、潜伏期間は2〜6日です。鼻水から始まり、その後38〜39度の発熱があらわれ 長いと数日続きます。咳と喘鳴(痰がからんでゼイゼイ)みられます。重症では陥没呼吸・呼吸困難・無呼吸がみられます。早いと発症後数時間で重症化することがあるので要注意です。
*1歳以下の月齢の低い赤ちゃんで、風邪と診断されても、機嫌が悪い・元気がない・ミルクの飲みが悪い・熱が高い・咳がひどい時は、もう一度受診しましょう。
*咳・喘鳴がひどく、呼吸の状態がおかしい時は急いで受診しましょう。
治療  ウイルス感染のため、基本的には咳止めや痰をきる薬、熱ざましを処方します。抗生剤は無効です。ひどくなると点滴・輸血・酸素投与・人工呼吸管理などを行ないます。
診断  迅速診断キットがあり、鼻水を取って検査すると約15分で診断が可能です。
予防  感染している子との接触や飛散した気道分泌物が付着したおもちゃやおしゃぶりなどによって感染することがあります。おもちゃやおしゃぶりなど赤ちゃんが口に入れるものは清潔にしておいてください。手洗いも感染予防のために大切です。
 生後6ヶ月以下の赤ちゃんが感染すると重症化しやすいので、まわりの人が感染源にならないように注意する必要があります。
 在胎35週以下の早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患の病気を持っている乳児は高率に重症化するので、RSウイルスに対する免疫製剤である『シナジス』を筋肉注射して予防することが保険で認められています。しかし、一般の子どもさんには この予防薬を保険で使うことはできません。また、ワクチンもありません。